体操女子日本代表のパリ五輪辞退。許容範囲はどこまで。

国内ニュース

7月15日、パリオリンピック体操競技日本代表として合宿を行なっていた宮田笙子選手(19)が行動規範などに違反したとする内容の情報提供があり、その内容が話題となっています。

JOC国際総合競技大会の派遣規定び日本体操協会代表選手の行動規定に違反したとされる具体的な内容は、20歳未満にも関わらず「喫煙行為」「飲酒行為」を行なっていた、というものでした。

宮田笙子(19)

経歴

 

引用:https://news.yahoo.co.jp

宮田選手は「日本女子体操界」の新時代エースと称されることもあり、オリンピックでも日本代表がメダルを狙うための中心となるほどの期待を背負う選手でした。

京都府出身で福井県の鯖江高等学校を卒業したのち順天堂大学へ進学しました。大会実績としては2022年にNHK杯に高校生で優勝、翌年の2023年には全日本選手権の種目別跳馬で優勝を果たします。

2024年には全日本選手権・個人総合で初優勝、2022年〜2024年のNHK杯を3連覇するなどの成果を残し、来たるパリオリンピック体操女子日本代表の主将となっていました。

19歳という年齢

宮田選手は、若いうちから成果を残してきた選手であり、今回日本代表(主将)に選ばれここまで順調にきていた印象でした。

初めてのオリンピック出場であり、自分が取るべき点数を確実に取らなければならないというエースとしての重圧はかなり大きいものだったと思われます。

宮田選手は現在19歳、あと2ヶ月ほどで誕生日を迎え、20歳になるというタイミングでした。

体操協会の会見

規定違反から辞退まで

日本体操協会が19日に宮田選手の件で会見を行いました。会見によると、6月末から7月初旬にかけて「喫煙行為」「飲酒行為」を行っていたことが発覚。

成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたため「未成年」ではありませんが、「喫煙」「飲酒」については未だ法律で20歳から、と定められています。

15日に内容が報道されたのち会見まで少し空きましたが、この会見で宮田選手がオリンピックを辞退するということが発表されました。

聞き取り後の結論

15日に情報提供があり、日本体操協会が宮田選手本人に聞き取り調査を行ったところ、協会の行動規範に違反するこれらの事実が確認されたとのことです。

事実確認後に本人との話し合いの末、オリンピック出場の辞退という決定に至りました。

飲酒や喫煙の背景には本人に設定されていた競技目標に対して数々のプレッシャーも確かにあったということを協会は説明、実際に体操選手には喫煙者は意外と多いようです。

体操選手の喫煙

実は喫煙者が多い、という体操選手。他のスポーツ競技に比べて競技中の持久力はいらないというところでいうと、喫煙による影響は他競技に比べるとそこまで大きくはない、といったところでしょうか。

引用:https://www.mbs.jp

ソウル・バルセロナ五輪のメダリストであり、現在オリンピックを目指す選手の育成を行っている池谷幸雄さんによると、選手の中には練習中にも一種目終えるごとに煙草を吸いに行く人がいる、それくらい選手にかかるプレッシャー・精神的にくるものは大きい、ということです。

現役選手の中でもそれらのプレッシャーを和らげるために喫煙する選手は実は結構いました、とのことです。

エース不在で迎える五輪

大会の直前でエース宮田の辞退が決定しましたが、やはり直前ということもあり、エントリーの締切も過ぎていることから選手の補充は厳しいようです。

元々宮田を含めた5人で戦うはずが4人での勝負になり、さらに宮田は得意種目がたくさんあったため、予選で多くの種目に出る予定でしたがそれがなくなってしまいます。宮田選手だから取れる点数が減ってしまうので、メダル獲得への影響は非常に大きいと考えられます。

厳しい規定

引用:https://www.mbs.jp

日本体操協会の規定の中には、20歳以上であっても「原則的に喫煙は禁止」「飲酒は禁止」(合宿などの打ち上げについては監督の許可があれば可)という厳しいものがあります。

厳しすぎる規定という声もありますが、ジュニアの高校生の選手たちも入ってきて一緒に行動することを考えると、団体行動の場では成人も未成年に合わせていかなければ、というところがあると思われます。

実際に今回の報道が出てから会見の日まで、「これで五輪の出場取り消しは厳しすぎる」という擁護の意見、「非常識」「ルール(法律)に違反したのだから五輪には出るべきではない」等、ネット上では賛否が真っ二つに分かれていました。

ネット上・世界の声

ネット上で賛否が分かれる中、海外でもこのニュースは話題となっているようです。

「非常識な話じゃないか。フランス代表として喫煙した宮田翔子を許してやれるか? 素晴らしい体操選手だったのに、日本チームにとっては大損失だ」

引用:https://news.yahoo.co.jp

アメリカの大手紙『The New York Times』のローラ・カペル記者は自身のX(旧ツイッター)でこのように更新、今回の辞退について非難しました。

まとめ

オリンピックを直前に控える中発覚した今回の問題。体操日本代表のエースが行動規範に違反したとして辞退というかたちになりました。

今回辞退した宮田選手が次にオリンピックに出場する時は23歳、10代の若いタイミングが有利なことを考えると、ここから4年伸ばし続けることはもちろん現状維持、今の状態をなんとかキープするという難しさもあり不利になってくると思われます。

補充も間に合わず、エースを欠いた日本代表はどのように戦うのでしょうか。

宮田選手の行動、協会の厳しい規定、残された選手団に対して今後も寄せられるであろう多くの声に注目するとともに、今のメンバーで五輪をどう戦うのか、日本代表の実力が試されます。

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